シャドウ・イン・クラウド

シャドウ・イン・クラウド

頼れるのは、私だけ。

4.1(金)新宿ピカデリー他 公開
  • 予告編(60秒)
  • 予告編(30秒)
  • 特報
  • 特別動画【空中戦編】
  • 特別動画【肉弾戦編】

高度2500メートルを飛行するB-17爆撃機内 彼女は上空で謎の生物を目撃するー。

  • Twitter
4.1(金)新宿ピカデリー他 公開

高度2500メートルを飛行するB-17爆撃機内 彼女は上空で謎の生物を目撃するー。

イントロダクション

孤軍奮闘する女性パイロットの極限サバイバルを描く高度2500メートルのジェットライド・サスペンス・アクション

 第二次世界大戦中の1943年。空軍の女性大尉モード・ギャレットが、フールズ・エランド号と命名されたB-17爆撃機に乗り込んだ。上官からの密命を帯びたモードの任務は、極秘の最高機密をニュージーランドからサモアへ運ぶこと。オール男性の乗組員たちから卑猥な言葉を浴びせられながらも、ひたむきにミッションを遂行しようとするモードだったが、銃座の窓から機の右翼にまとわりつく大空の魔物グレムリンを目撃。やがてグレムリンに機器を破壊され、日本軍のゼロ戦の奇襲も受けたフールズ・エランド号は、制御不能のパニックに陥っていく。はたしてモードは、この絶体絶命の危機を生き抜くことができるのか。そしてある重大な秘密を隠し持つ彼女が、この機に乗った本当の理由とは……。

 『キック・アス』のヒット・ガール役でブレイク後、相次いで多彩なジャンルの話題作に出演し、若手実力派のトップ女優へと成長を遂げたクロエ・グレース・モレッツ。ユニークな作品選びでも知られる彼女が主演を務めた『シャドウ・イン・クラウド』は、第45回トロント国際映画祭のミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞したジェットライド・サスペンスだ。高度2500メートルを飛行する爆撃機の機内を舞台にした斬新なシチューションと、予想もつかないスリルとサプライズが炸裂するストーリー展開に目を奪われる快作である。


アドレナリン全開のクロエ・グレース・モレッツ“大空の魔物”グレムリンとの死闘、日本軍零戦との銃撃戦

 クロエ扮する空軍大尉の主人公モードは、究極の男社会の縮図というべき爆撃機に乗り込み、次から次へと想像を絶する試練に見舞われていく。鋭利な鉤爪を持つ伝説の怪物グレムリンの恐怖、忽然と現れた日本軍の零戦の襲撃。しかも身体の自由が制限された爆撃機の銃座に押し込められているモードは、傲慢でどこか頼りない男だらけの乗組員たちにも対処しなくてはならない。そんなまさしく孤立無援にして八方塞がりの状況のもと、モードは命よりも大切な荷物を守りながら捨て身のサバイバルを繰り広げていくのだ。

 独創的なシチュエーションを存分に生かしたサスペンスに加え、ホラー、アクション、ミステリーの要素も惜しみなく盛り込んだ本作は、荒唐無稽なパルプ・フィクション風の面白さに満ちあふれている。とりわけジョー・ダンテ監督の大ヒット作『グレムリン』はもちろん、TVシリーズ「ミステリー・ゾーン」とその劇場版『トワイライトゾーン/超次元の体験』における「2万フィートの戦慄」でも描かれたグレムリンの大暴れは、1980年代ホラーのテイストを今に甦らせたかのよう。ダイナミックなカメラワーク、編集、シンセサイザー音楽、視覚効果が一体化した怒濤の映像世界に圧倒されずにいられない。ハラスメント発言を連発する男たちを黙らせ、悪夢のような苦難に立ち向かうクロエのアドレナリン全開の熱演にも魅了される。

 ジェームズ・キャメロン監督作品『エイリアン2』などからインスピレーションを得て、本作を完成させたのは中国系ニュージーランド人の新鋭女性監督ロザンヌ・リャン。第二次世界大戦に従軍した女性兵士たちへのリスペクトを表明しながら、新たな闘うヒロイン像を鮮烈に描き上げたその確かな手腕は、今後のキャリアの飛躍を予感させずにおかない。

ストーリー

 第二次世界大戦中の1943年8月。ニュージーランドのオークランド空軍基地から飛び立とうとしているBー17大型爆撃機、フールズ・エランド号に、モード・ギャレット空軍大尉(クロエ・グレース・モレッツ)が乗り込んだ。上官からの密命を帯びて派遣されたというモードの任務は、ある最高機密を収納した革製の大きなカバンをサモアまで運ぶこと。しかしフールズ・エランド号の乗組員7名は、爆撃機に女性が搭乗することに反発し、あからさまに嘲笑的な言葉を投げつけてくる。軍の指令書を示して搭乗を許されたモードは、狭苦しい砲台の銃座に押し込められ、唯一協力的な乗組員のクエイド二等軍曹(テイラー・ジョン・スミス)にカバンを預けた。

 やがて離陸したフールズ・エランド号は、雷鳴轟く悪天候のなか、高度2500メートルの上空に達した。そのときモードは右翼の下部で不気味にうごめく生き物の影を目撃するが、誰も彼女の報告を信じようとしない。するとハッチの故障によって銃座の中に閉じ込められたモードに、先ほどの正体不明の生き物が襲いかかってくる。鋭い鉤爪を持つその凶暴な生き物は、かねてから空軍兵士の間で噂になっている“大空の魔物”グレムリンだった。隠し持っていた拳銃でからくもグレムリンを撃退したモードだが、基地への身分照会によって「モード・ギャレットという兵士は存在しない」という事実が発覚し、乗組員たちから疑惑の目を向けられてしまう。しかし次の瞬間、日本軍の戦闘機が正面から接近。すぐさま機銃を握り締めたモードは敵機の撃墜に成功し、乗組員たちのド肝を抜いた。

 そしてフールズ・エランド号をさらなる悪夢が襲う。グレムリンが油圧装置を破壊し、他の乗組員もそのおぞましい姿を目撃したことで機内はパニックに陥った。機長のリーヴス(カラン・マルヴェイ)はこの一連の異常事態の原因が、モードが持ち込んだカバンにあるのではないかと考え、中身を確かめるよう部下に命じる。はたして、そのカバンには何が隠されているのか。極秘任務を装っていたモードの本当の目的とは何なのか。その驚くべき真実が解き明かされようとしたとき、新たに出現した零戦3機の攻撃を浴び、グレムリンが機内に侵入してきたフールズ・エランド号は極限の危機に見舞われていくのだった……。

プロフィール

CAST キャスト

クロエ・グレース・モレッツ(モード・ギャレット)

クロエ・グレース・モレッツ(モード・ギャレット)
 1997年、米ジョージア州アトランタ生まれ。幼少期に兄が演劇学校に合格したことをきっかけにニューヨークへ移り住み、モデルや広告出演などの芸能活動を開始。続いて6歳の時にロサンゼルスに拠点を移し、TV作品に出演したのち、『悪魔の棲む家』(05)で注目された。『早熟のアイオワ』(08)、『(500)日のサマー』(09)などを経て、『ぼくのエリ 200歳の少女』(08)のリメイク『モールス』(10)とアクション・コメディ『キック・アス』(10)の2作品でブレイク。とりわけヒット・ガール役で鮮烈な印象を残した『キック・アス』では、MTVムービー・アワードのブレイクアウト・スター賞など数多くの賞に輝いた。その後は『ヒューゴの不思議な発明』(11)、『ダーク・シャドウ』(12)、『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(13)、『キャリー』(13)、『アクトレス ~女たちの舞台~』(14)、『イコライザー』(14)、『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』(14)、『ダーク・プレイス』(15)、『フィフス・ウェイブ』(15)、『彼女が目覚めるその日まで』(16)、『クリミナル・タウン』(17)、『グレタ GRETA』(18)、『サスペリア』(18)、『アダムス・ファミリー』(19・声の出演)などに出演。最近の主な出演作には『トムとジェリー』(21)、『マザー/アンドロイド』(21・未)、『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』(21・声の出演)がある。

ニック・ロビンソン(スチュ・ベッケル)

ニック・ロビンソン(スチュ・ベッケル)
 1995年、米ワシントン州シアトル生まれ。幼少期から地元シアトルの舞台に立ち、子役として本格的に活動するため家族とともにロサンゼルスへ移り住んだ。2010年スタートのTVシリーズ「メル&ジョー 好きなのはあなたでしょ?」のレギュラーを獲得。『キングス・オブ・サマー』(13)で主演を務め、メガヒット・シリーズの第4作『ジュラシック・ワールド』(15)ではブライス・ダラス・ハワード扮するクレアの甥っ子ザックを演じた。『フィフス・ウェイブ』(15)では、クロエ・グレース・モレッツと共演している。そのほかの主な作品は『エブリシング』(17)、『Love,サイモン 17歳の告白』(18・未)、『ストレンジ・アフェア』(19・未)、『ネイティブ・サン ~アメリカの息子~』(19・未)、『シルクロード.com -史上最大の闇サイト-』(21)、『メイドの手帖』(21・未)など。

ビューラ・コアレ(アントン・ウィリアムズ)

ビューラ・コアレ(アントン・ウィリアムズ)
 1992年、ニュージーランド・オークランド生まれ。少年時代に教会の舞台や劇団マッシブ・カンパニーの舞台で演技に親しんだサモア系ニュージーランド人である。プロの俳優としてのキャリア初期には、ベルリン国際映画祭で賞を得た『Manurewa』(10)などの短編やTV作品に出演。ジェイソン・ホール監督、マイルズ・テラー主演の戦争映画『アメリカン・ソルジャー』(17・未)では、主要キャストに名を連ねてハリウッド進出を果たす。また、2010年から全10シーズン放送されたTVシリーズ「HAWAII FIVE-O」のシーズン8~10で元海軍兵ジュニア・レインズ役を演じた。公開待機中の新作として、タイカ・ワイティティ監督の『Next Goal Wins』(22)などがある。

テイラー・ジョン・スミス(ウォルター・クエイド)

テイラー・ジョン・スミス(ウォルター・クエイド)
 1995年、米カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。ギリアン・フリンのベストセラー小説に基づくHBOのミニ・シリーズ「KIZU -傷-」(18)のジョン・キーン役で知られている。それ以前にも数多くの映画、TV作品に出演しており、日本に紹介された主な作品は2015年スタートのTVシリーズ「アメリカン・クライム」、Netflixオリジナル映画『ラストウィーク・オブ・サマー』(17・未)、ジェラルド・バトラー主演の潜水艦映画『ハンターキラー 潜航せよ』(18)など。最近では、ロッド・ルーリー監督の実録戦争アクション『アウトポスト』(20)に出演した。公開待機中の新作には、リーアム・ニーソンと共演するアクション・スリラー『Blacklight』(22)がある。

STAFF スタッフ

ロザンヌ・リャン(監督・脚本)

ロザンヌ・リャン(監督・脚本)

 ニュージーランド生まれ。香港からの移民である両親のもとで育ち、オークランド大学でコンピュータ科学を学ぶ。自伝的なドキュメンタリー映画『Banana in a Nutshell』(05)で監督デビュー。同作品を劇映画化したロマンティック・コメディ『My Wedding and Other Secrets』(11)は、公開年におけるニュージーランド製作映画として最高の収益を記録した。そのほかの作品にはベルリン国際映画祭で最優秀短編賞を受賞した『Take 3』(08)、ウェブ向けのシリーズ「Flat 3」(13~14)、「Friday Night Bites」(16)、サンダンス映画祭ほかで好評を博した短編『Do No Harm』(17)などがある。ハリウッド進出を果たした本作で、第45回トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門の観客賞を受賞した。

マックス・ランディス(脚本)

 父親は著名監督のジョン・ランディス。TVシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」の一編「ディア・ウーマン」(05)の脚本を父との共同で執筆。いくつかの短編映画に携わったのち、超能力を題材にした青春SFアクション『クロニクル』(12)の原案、脚本を手がけたことで脚光を浴びた。それ以降の主な作品は『エージェント・ウルトラ』(15)、『ヴィクター・フランケンシュタイン』(15・未)、『バッド・バディ!私とカレの暗殺デート』(16/製作総指揮を兼任)、Netflixオリジナル映画『ブライト』(17・未/製作総指揮を兼任)など。2016年にスタートしたTVシリーズ「私立探偵ダーク・ジェントリー」のクリエイターも務めている。

キット・フレイザー(撮影)

 イラン系イギリス人のババク・アンヴァリ監督とのコラボレーションで知られ、短編『Two & Two』(11)、アンヴァリ監督がBAFTA新人賞を受賞した心理スリラー『アンダー・ザ・シャドウ』(16・未)、アーミー・ハマーとダコタ・ジョンソンが共演したNetflix配信のホラー『ワウンズ:呪われたメッセージ』(19)の撮影を手がけた。そのほかの主な作品には、マシュー・ホルネス監督の『Possum』(18)、クレイグ・ロバーツ監督の『Eternal Beauty』(19)、『The Phantom of the Open』(21)がある。

トム・イーグルズ(編集)

 2000年代後半から「スパルタカス」(10~13)など数多くのTVシリーズの編集を手がける。タイカ・ワイティティがジェマイン・クレメントと共同監督を務めた『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(14)と、その2本のスピンオフ・シリーズ「Wellington Paranormal」(18)、「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」(19)の編集を担当。ワイティティ監督とは『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』(16・未)でもタッグを組み、同監督が主演を兼任して絶賛されたた戦争ドラマ『ジョジョ・ラビット』(19)で米英のアカデミー賞編集賞にノミネートされた。ロザンヌ・リャン監督とは短編『Do No Harm』(17)に続き、本作が2度目のコラボレーションとなる。

監督インタビュー

私が大好きな監督たちは、私の手を取り、目を見て、こう言ってくれる。「あなたを思いもよらない旅に連れて行きたいんだ。奇妙な旅になるかもしれない。高い所から落ちそうになるかも知れない。だけど大丈夫。私がちゃんとあなたをつかまえているから」。私が心惹かれる要素は、信頼できて、意欲的で、予想不可能ということ。これらの要素が熱い魂と意義があり共感を覚える物語と結びつくと、私は映画ファンとして幸せな涙を流し、そこに浸る。楽しくて思いやりにあふれ、そしてスペクタクルな光景を描く先にもたらされる最高の結果を見たいと願い、本作を作った。

 映画におけるエンパワーメントは、見識、名誉、倫理観といった高尚な特性の探求として描かれることが多い。モード・ギャレット空軍大尉の場合、口をつぐみ、機知に富んだ小さな嘘をつくことでエンパワーメントを実現している。ギャレットは臨機応変に即興で対処し、うまくいくこともあれば、そうでないときもある。私は彼女のこういうところがとても好きだ。完璧に強いわけではない彼女に、共感を覚えるのだ。

本作に一緒に取り組む協力者には、クロエ・グレース・モレッツ以外に考えられなかった。6歳のときから60本以上の作品に出演しているクロエは、超人的なスキルを使って見事に的を射た演技をする。彼女は複雑な格闘シーンを数分で覚えるし、1回のテイクで12ページ分のセリフを自分のものにして演じられる。何よりもまず、彼女は情熱的な語り部である。また、犯罪科学を焦点にしてギャレットの動機を深く掘り下げていた。これほどまでに創造的本能が研ぎ澄まされた俳優と仕事ができたことに、監督としてこのうえない喜びを感じている。

 第二次世界大戦中に飛行する爆撃機の実在感や臨場感があふれる映像を生み出すために、巧みな視覚効果と特殊効果を施す必要があった。本作はジャンル映画であり、史実に正確に基づいているわけではないが、私たちは敬意をもって伝説のB-17大型爆撃機を描きたいと思った。特殊効果チームは、クロエが自分で動かせるように油圧式ボールターレット(球状の胴体下面銃塔)制御装置を設計した。セットである機体の胴体は、ボートのような形状の台の上に作られ、機体全体を振動させられるようにした。また、コックピットを360度回転するバレルリグに取りつけた。

 視覚効果に関しては、3次元空間でボールタレットの“ケージ”が回転するのを追跡し続け、物語の途中で登場する窓の外で太陽が昇る景色を重ねた。視覚効果の撮影リストは、科学で用いられるようなチャートになった。そこには窓からの回転角度、傾斜角、高度や方位に関して、めまいを覚えるほどたくさんの数字が記入されていた。映画学校で学んでいたとき、両親から強く勧められて“念のため”コンピューター科学の学位も取ったが、私には向かなかったようだ。でも、両親には感謝したい。

 ジャンルが混ざり合った本作には、パンチの効いた音楽とサウンドデザインが相乗効果をもたらしている。最初から私は機械的な音が特徴の、80年代のシンセサイザー音楽に通じる魔術的で反抗的なパンクロック魂を感じる曲を望んでいたが、制作チームはさらにレベルの高いクオリティに仕上げてくれた。適切なサウンドとリズムでバランスを取りながら、綱渡りのような危うさを音で見事に表現している。最高にスリリングな音楽が出来上がった。

 本作は、私たち皆が持っている驚くほどの度胸と強靭さ、そして内に秘めた力を解き放つきっかけを描いている。私はこの物語で描かれるモラル、テーマ、感情を、誠意をもって伝えられる機会に恵まれた幸運を噛みしめている。観客が私を信じてくれること、そして彼らの手を取って思いもよらない物語を楽しく心をこめて案内できることを願っている。

グレムリンの伝説

 グレムリンと聞いて誰もが思い浮かべるのは、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、ジョー・ダンテ監督のハリウッド映画『グレムリン』(84)だろう。とある発明家の中年男が、チャイナタウンの骨董品店で偶然手に入れた愛くるしい生き物モグワイ。発明家はクリスマス・プレゼントとして息子ビリーに手渡すのだが、ビリーが「光を浴びさせてはいけない」「水に濡らしてはいけない」「真夜中過ぎにエサを与えてはいけない」という3つのNGルールを守らなかったため、モグワイは凶暴な怪物グレムリンに変貌。大量に増殖したグレムリンは、街をパニックに陥れてしまう……。

 『グレムリン』の大ヒットによって、グレムリンはさまざまなゲームや小説に登場する人気モンスターとなったが、もともとはイギリスを発祥とする妖精の一種である。歴史上、グレムリンの存在がまことしやかに語られるようになったのは、第二次世界大戦中のこと。原因不明の飛行トラブルに見舞われた英国空軍兵士の間で「故障はグレムリンの仕業だ」という噂が広まったのだ。さらにはグレムリンが計器を狂わせたり、燃料を飲んでいる姿を見たという目撃例も報告された。しかしそれらの事例は、味方である戦闘機の整備士たちの責任を回避するために、グレムリンをスケープゴートにしたという説が有力とされる。グレムリンの目撃談については、任務中に極度の緊張状態に置かれたパイロットの幻覚、妄想ではないかと推察されている。

  グレムリンはパイロットにとっては悩みの種だが、かつては人間に友好的な存在で、物理学者ベンジャミン・フランクリンらの実験を手助けしたこともあるという。ところが人間にないがしろにされて敵意を抱き、機械を壊すことで人間に復讐するようになったと語り継がれている。

  また、『チャーリーとチョコレート工場』でおなじみの作家ロアルド・ダールは、英国空軍の戦闘機パイロットだった経験を生かし、1942年にグレムリンを題材にしたおとぎ話を書いた。一度は決まりかけたウォルト・ディズニーによる映画化の企画は頓挫したものの、このときダールが創造したグレムリンのイメージは、都市伝説のようにアメリカなど世界中に広まっていった。

  戦後のグレムリンに関する映像化作品で最も有名なのが、アメリカCBSの人気TVシリーズ「ミステリー・ゾーン(トワイライト・ゾーン)」(59~64)における第5シーズンの第3話「二万フィートの戦慄」だ。リチャード・ドナー監督、リチャード・マシスン脚本、ウィリアム・シャトナー主演による同作品は、旅客機の翼に乗っている謎の生き物を目撃した乗客の悪夢のような体験を描いたもの。「ミステリー・ゾーン」の中でも屈指の傑作と名高いこのエピソードは、のちにオムニバス映画『トワイライトゾーン/超次元の体験』(83)の第4話として、ジョージ・ミラー監督によってリメイクされた。

  そしてグレムリンの伝説は、ハイテク化が進んだ21世紀においても健在で、「コンピュータのバグはグレムリンのせい」などと言われたりする。ひょっとすると、私たちが普段使っているデジタル端末やオフィス機器の中にも、悪戯好きの小さな妖精が隠れ潜んでいるのかもしれない。

小島秀夫(ゲームクリエイター)
このノンジャンルさが堪らない!前半の銃塔(ボールターレット)での密室劇と、後半のアクションとのコントラストもいい!本作は80年代B級ホラーSFという機体に、メタ的社会風刺を搭載した令和時代の爆撃機版「ゼロ・グラビティ」「エイリアン2」「プレデター」だ。ここ最近のクロエ・モレッツ出演作では出色の仕上がり。魅力が再誕!これは好物だわ!
赤ペン瀧川(映画プレゼンター)
なんだこの映画、めっちゃ興奮するじゃないか!畳み掛けるピンチ!上がり続けるテンション!爆発するクロエの新たな魅力!こんなぶっ飛んだフライトパニック映画は見た事がない!
山崎まどか(コラムニスト)
クロエ・グレース・モレッツは孤独に戦う少女がよく似合う。でも今回のバトルは過酷すぎる! 戦時中の空は危険がいっぱい、更には軍機に乗り合わせた味方のはずの男性たちも敵、でも困難が大きければ大きいほど、彼女は輝くのである。
末廣末蔵(ジャンル映画大好きツイッタラー)
高度2万フィートでのクロエと空の怪物との仁義なき戦いを過剰な血と暴力とアクションで描いたスラップスティックホラーであり、武闘派クロエが全編出ずっぱりの最強のクロエ映画♡80年代娯楽映画の醍醐味を詰め込んだ映画愛に満ちた作品。
杉山すぴ豊(アメキャラ系ライター)
空中戦の最中にセクハラされてしかもモンスターが襲ってくるという最悪すぎる状況下で史上最強のクロエが覚醒!その強さの“秘密”が明かされた時、物語はさらにカオスに!予想外かつ想像以上にぶっとんだホラー・フライトです!
花くまゆうさく(漫画家・イラストレーター)
えっ? 「クロエ・グレース・モレッツ対グレムリン」⁉「クロエ・グレース・モレッツ対日本軍」⁈そんなマッチメイク組まれたら気になるでしょ!見ますよ‼
氏家譲寿(ナマニク)(映画評論家)
クロエの悪運と腕っ節の強さとド根性に驚愕。ジョン・ランディスの息子、マックス・ランディスの悪ノリ脚本とクロエのヒットガール以来の肉弾芝居は、零戦も客席もぶっ飛ばす!
人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
クロエの全力一人芝居と凶暴グレムリンの襲撃と無茶苦茶な空中戦の最強マリアージュ!途中からブレーキが完全にブッ壊れ、目を疑うようなミラクルアクションの連べ打ち!「そんなバカな!」が無限に押し寄せる!!
(順不同/敬称略)